浦沢直樹の『モンスター』をDVDで観る
最近、『モンスター』に、はまっています。仕事の合間についつい観てしまいます。ビデオ屋には15巻までしかないのですが、5日間くらいで全部観てしまいました。話の先が気になります。先日、深夜にテレビをつけたら、『モンスター』を放映していました。まだ続いているんですね。驚きました。
何よりも、場所の設定がドイツやチェコで、ナチ時代の内務省による孤児院での洗脳実験をうけた子どもが悪の主人公で、ベルリンの壁が崩壊したことによる東西ドイツの負の遺産のようなものをテーマにしていながら、コミックやアニメの商業ベースで勝負できているのがすごい。
すくなくとも中学生以上の世界史の知識は必要で、へたをすれば大人が観てもストーリーの展開が理解できないようなアニメ作品です。「ナチス」「洗脳」「猟奇殺人」「子ども」「精神医学」「ドイツ近現代史」といったキーワードを、うまくつなげています。
褒め殺しのようで変かもしれませんが、カンボジアの現代史を学んできた私にとって、ナチスの内務省が、洗脳によって子どもの人格改造をはかったというくだりは、ポルポト政権による子どもへの対処と完全に二重写しとなります。
ナチスほど高度な洗脳の「実験」や「研究」がおこなわれおらず、また4年弱という短期間しか政権が成立しなかったポルポト時代のカンボジアでは、洗脳の対象となった子どもたちの行く末は悲惨です。感情がなくなり、虚無感だけが残った子ども。急に洗脳が中断され、精神に障害が残った子ども。他人との関係を築けず、親でさえも敵視するようになった子ども……。
嗚呼、はやく話の先が知りたい。こうなったら、マンガ喫茶にこもって、とりあえずコミックを全巻読破するしかないのでしょうか。
- 作者: 浦沢直樹
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/06
- メディア: コミック
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