仕事の話 ――編集実況――

 ブログを書いていてよくわかったことがあります。それは、本格的な編集作業がはじまってしまうと、「編集実況」などといっていながら、実況をしている時間がなかなかとれない、という当たり前のことでした。とはいえ、ずーっと作業をしているわけではなく、テレビを観たり音楽を聴いたり(自宅ならではの「ギターを弾いたり」)という息抜きの時間もあるので、そういう時間を利用して書くことにいたします。

 『限界の思考』。残り1/3の原稿が入らないため、作業が止まっています。数日中に決めますが、発売日は延期になる見とおしです。期待してお待ちいただいている読者のみなさま、多くの注文をいただいた書店のみなさま、発売日の遅れを深くお詫び申し上げます。私自身、ここまで発売日が遅れてしまうとは予想していませんでした。
 大手出版社でしたら、あまりにも発売予定がずれそうになると、著者をホテルなどに「缶詰め」にするなどの対処をするのでしょう。とはいえ、「缶詰め」にする経費を捻出できない弊社は、著者にただただ「書いてください」お願いし、著者から原稿が送られてくるのをただただ待つしかありません。
 いくらこのようなことを書いても、言い訳になってしまいますね……。しかし、いまの弊社にできることは、素直に現状を報告し、読書人と書店人に寛容なるご理解をいただくことのみです。ほんとうに申し訳ありません。

 一方で、仲正さんによる書き下ろしの原稿が、すでに9割くらい届いています。数日前から初校ゲラを出すために、原稿チェックをはじめました。
 原稿の内容は、「生き生きとした言葉を語りたがる人びとを多角的に批評することにより、現代思想を理解する」といったものです。第一章は、生き生きした人たち一般への考察。第二章は、生き生きとした思考の脱構築。第三章は、生き生きした言葉を語る知識人批評。これに序章と終章がつきます。
 ちなみに、第一章では宮台さんや東浩紀さんが、第三章では竹田青嗣さんや柄谷行人さん、高橋哲哉さんらが登場します。第二章では、ルソーやフィヒテゲーテ、カント、ヘーゲルマルクスフッサールベンヤミン、ホルクハイマー、アドルノデリダなどの思考を手がかりに、生き生きとした言葉を語りたがる人を多角的に批評する論拠が提示されます。第一章で概況の説明がなされ、第二章で現状分析のための論拠が提示され、第三章で具体的な事例研究がなされる、という構成となっています。
 宮台さん流にいえば、第一章と第三章が「暴走」のパート、第二章が思想史を紹介する場合の「本格ぶり」を発揮するパート、となっております(なんて書いたら、仲正さんに怒られる!?)。ようするに、仲正節が炸裂します。ご期待ください。
 発売時期は、10月中旬から下旬になると思います。いずれにしても、詳しい情報は、あらためてお知らせいたします。