首相の靖国参拝について

 尊敬する編集者・末井昭さんの「絶対毎日スエイ日記」(10月20日)に、「首相の靖国参拝賛否二分」という文章が書かれていました。以下、引用いたします。

 朝、朝日新聞を見て驚いた。1面に「首相の靖国参拝賛否二分 よかった42% すべきでなかった41%」なんじゃ、これは。近隣諸国があれだけ不快感を持っているのに、小泉の靖国参拝をよかったと言う人のほうが多いとは。本当なんだろうか。本当だとしたら、日本人はどうなってしまったんだろう。
 どういう「緊急の全国世論調査」をしたのか知らないけど、この記事でまた小泉支持者が増えることになる。それを計算した上での記事じゃないかと思ってしまう。もう朝日新聞も信用できなくなった。といっても、最近新聞をほとんど読んでいない。読む気もしない。

 私は、グーグルのニュースで同じ記事を読み、やはり驚きました。そして、末井さんが書かれていることと、ほぼ同じことを考えました。新聞を「読む気もしない」というのも同感です。
 さて、この世論調査からいえることは、「首相が靖国参拝をやめて、アジアの近隣諸国との国際関係を良好に保ったほうがいい」と思う人よりも、「アジアの近隣諸国が何を思おうと、首相が靖国に参拝したほうがいい」と思う人が多いということですね。もっと単純化していうと、「アジア外交」よりも「首相が戦没者を慰霊すること」が「国益」にかなっていると考えている人が多い、ともいえましょう。
 「日本人はどうなってしまったんだろう」と、私も思います。自虐史観だ自由史観だという議論をまったく抜きにしても、「国益」を考えれば「首相の靖国参拝」よりも「アジア外交」のほうが重要であることは、大企業が生産拠点をアジア諸国にシフトしていることや、六カ国協議の経緯を観察していれば、自明のことだと思うのですが。私には、「国益」の取り違えが起きている、というようにも見えます。
 首相の靖国参拝の賛否よりも、このような取り違えが起きる社会の仕組みが、私には気になります。来月の北田×仲正トークで、この問題に関するおふたりの意見を聞いてみましょう。