新刊のお知らせ――宮台真司・上野千鶴子ほか著『バックラッシュ!』


あまり詳細をあきらかにせず、着々とすすめていた企画が、ようやくかたちになります。
以下、6月末に配本予定の新刊に関する情報を公開いたします。

なお、本書に関するくわしい情報やバックラッシュ全般(争点や問題点)について、著者の声、また編集作業の進行などについては、5月26日本日中に新設するブログのほうに掲載いたします。ご期待ください!

装丁については、デザインの詳細や色などについて、ただいま検討中です。今回、ご紹介したものは、あくまでも「ラフ」の段階のものなので、デザインや色が変わるかもしれません。ご注意ください。

さて、内容の詳細を紹介するのは、新設ブログにゆずります。ここでは、ごく簡単に企画の経緯などを。
そもそも、私が書店で宝島ムック『男女平等バカ』を目にしたのがきっかけでした。「男女平等」と「バカ」がどのように関連しているのか。そう思った私は、さっそく同ムックを読んでみました。そして、「つくる会」「正論」「諸君」的な論調で、ただただジェンダーフリーを叩くような内容に、あきれかえってしまいました。

同ムックを読んで、「男女平等で、何が悪い!」と思った私は、ある人に企画の相談をしました。そのときに、同ムックのような言説や論調が「バックラッシュ」と呼ばれる現象だと知りました。私自身は、「ジェンダーフリー」という言葉を擁護するわけでも非難するわけでもありません。とはいえ、「ジェンダーフリー」をめぐるバックラッシュ現象のひどさは目に余るものがあり、ここらでどうにかできないものかと考え、企画を思い立った次第です。

ですから、本書は「ジェンダーフリー」をめぐる現象や動きをテーマにはしていますが、けっして「ジェンダーフリー」を擁護するための本でもなく、非難するための本でもありません。ここは大きなポイントです。そのことは、執筆陣の顔ぶれを見ても、おわかりになるかと思います。とにかく、そろそろバックラッシュなんてやめて、第三の道をさぐろうではありませんか。それが本書の主たるコンセプトなのです。

半年の準備期間を経て、双風舎が送り出す、売れ筋の新刊です。

書店人の方がた、ひさびさに「祭り」の時期がやってきました。関連書のリストをつくり、提供させていただきます。この本を核にして、人文書や社会評論コーナーの「祭り」をやろうではありませんか。このブログで「祭り」が起きてはこまりますが、書店で「祭り」が起きるのは大歓迎です!

読書人の方がた、ごぶさたしておりました。『チマ・チョゴリ制服の民族誌』に引き続き、『バックラッシュ!』もなにとぞよろしくお願いいたします。いずれもすでに、アマゾンで予約・購入していただけます。

■タイトル : バックラッシュ
■サ  ブ : なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?
■著  者 : 宮台真司上野千鶴子斎藤環小谷真理 ほか
■定  価 : 本体1900円(予定)
■判  型 : 46判、並製、アジロ綴じ、400ページ(予定)
■初版部数 : 未定
■発行年月日: 2006年6月25日(予定)
■I S B N : 4-902465-09-4 C0036

■目  次 :

まえがき by 編集部
Ⅰ バックラッシュとは何か?
 宮台真司 ねじれた社会の現状と目指すべき第三の道
      ――バックラッシュとどう向き合えばいいのか――
Ⅱ 嗤う日本のバックラッシュ
 斉藤環 バックラッシュ精神分析
 鈴木謙介 ジェンダーフリー・バッシングは擬似問題である
 後藤和智 教育の罠、世代の罠
      ――いわゆる「バックラッシュ」に関する言説の世代論からの考察――
 <コラム> バックラッシュを知るためのキーワード一〇
Ⅲ 男女平等のアカルイミライ
 山本貴光吉川浩満 脳と科学と男と女――心脳問題〈男女脳〉編
 澁谷知美 バックラッシュ言説は「非科学的」である
 小谷真理 テクハラとしてのバックラッシュ――魔女狩りの特効薬、処方します
 <コラム> 男女共同参画予算とは何か
Ⅳ ジェンダーフリー再考
 ジェーン・マーティン+バーバラ・ヒューストン ジェンダーを考える
 バーバラ・ヒューストン 「ジェンダー・フリー」概念に関するコメント
 山口智 「ジェンダー・フリー」論争とフェミニズム運動の失われた一〇年
Ⅴ バックラッシュの争点を探る
 小山エミ 「ブレンダと呼ばれた少年」をめぐるバックラッシュ言説の迷走
 瀬口典子 「科学的」保守派言説を斬る!――生物人類学の視点から見た性差論争――
 長谷川美子 たかが名簿、されど名簿――学校現場から男女平等を考える
 荻上チキ 政権与党のバックラッシュ
 <コラム> バックラッシュ、七つの論点
Ⅵ バックラッシュを乗り越えるために
 上野千鶴子 不安なオトコたちの奇妙な〈連帯〉
       ――ジェンダーフリー・バッシングの背景をめぐって――
執筆者紹介