傷だらけの店長

興味深い連載が、2006年7月13日付けの業界紙新文化」ではじまりました。現役の書店員である伊達雅彦さん(匿名か本名かは不明)による連載で、タイトルが「傷だらけの店長 ――それでも本屋を続ける理由――」。私の世代ですと、このタイトルには敏感に反応してしまいます。「傷天」を見てましたからね。

内容を読みすすめていくと、なんともいえない気分になりました。以下、簡単に紹介します。

書き出しは、書店の閉店時の様子。スタッフが帰ってからはじまる本格的な仕事を、有線で流れる歌に合わせて大声で歌いながらこなす。補充分の棚入れ、常備の入れ替え、返品の整理……。終電を気にしながらこなす、山のような仕事。「書店員にとって『明日やろう』という言葉はない」。

妻に「先に寝なさい」と電話をする。また仕事をやる。このように「忙しいわりには給料が低い」。日中は「事情をよく知りもしない他人から『ラクそうだ』だの『ろくに商品知識がない』だのと侮辱的な言葉を投げかけられる」。台車に山積みされた本を見ていると「本なんかもう見たくない」と思う。「本が好きで書店員になった。しかし本が本当に好きなら、書店員になるべきではなかったのかもしれない、と思い始めている」。

最後の一行は「どうして私はここにいるのだろう。どうして私は書店員であり続けるのだろう」。

とりあえず連載初回分には、書店員をやることのメリットについて、ひとことも書かれていませんでした。おそらく最後の一行で発した問いに答えるかたちで、次回以降でメリットについても触れられるのでしょうか。それとも、このまま「傷だらけ」の状態で最後までいってしまうのか?
次回が楽しみです。

これを機に、現役書店人の方がたのお話しをぜひ聞いてみたいですね。現場では、いろんな苦労をされているようですから。とはいえ、嬉しいことや楽しいことの話も、よく耳にします。いずれにせよ、ブログを書いたりコメントしたりする時間もとれないくらい、忙しいのはわかっているので、あまり無責任に「お話し聞かせてください」などとはいえませんが。