谷中にひとり出版社が新登場!


モリモト印刷さんからもJRCさんからも、うちの近所に双風舎と同じ「ひとり出版社」をやりはじめた人がいる、と聞いていました。谷中・根津・千駄木という、出版社をやるのにあたって、ほとんどメリットのない土地で、それもひとりで出版社をやりはじめる酔狂(失礼!)な方がいるとは……。


つい先日、流通に関する問い合わせがその方から電話でありました。で、どんなところを事務所にしているのか、たいへん興味深かったので、「ご近所だから、すぐにうかがいますよ」とソバ屋さんの出前のようなことをいって、ひとり出版社・みらい書房におうかがいしました。


同社は、谷中銀座から徒歩30秒の位置にある、築数十年のアパートの一室にありました。しぶ〜!
社長の小出さんは、元はスポーツ雑誌の編集者をやっていた方。「どうしても谷中で出版社がやってみたかった」とのことで、ご自宅はだいぶ離れていらっしゃるのに、わざわざ谷中で事務所を開いたとか。


今年7月に第一冊目になる秋山欣也著『ヨガでデトックス力 up』(1500円+税)をお出しになったばかりで、流通については双風舎が開業当初に直面したような問題に、やはり悩んでいるようでした。それでも、弊社とともにひとり出版社と取次との関係については試行錯誤をつづけ、その点については経験豊富なJRCが全面的にバックアップしており、最低限のラインはクリヤーされているようでした。


今後の刊行予定もしっかりとあるようでしたが、出版だけで食っていくのはむずかしいとのことで、古巣の雑誌の編集作業で最低限の経費をまかないつつ、好きな本を出していると小出さんはいっておりました。
双風舎とは扱うジャンルが異なりますが、「ひとり出版社」仲間として、流通や営業関係など、私の知っている情報は何でも提供していきたいと思っています。


とにかく、どこかの出版社で編集者をやっていることと、その人がひとりで出版社を実際にはじめることのあいだには、とても大きな壁が存在します。その壁を乗り越えるためには、冒頭でも書きましたが「酔狂」であることは必須ですし、勇気も必要ですし、失敗したときにスパッとあきらめる潔さも必要となるでしょう。


まずは、その壁を乗り越えて、谷中の地でひとり出版社をはじめられた小出さんにエールを送ります!
ちなみに、双風舎が谷中にあるのは、たまたまそこに私の住所があったからです。ほんとうは「神田神保町」とか響きのよい場所に事務所でも借りられたらよかったのですが、とにかく資金不足。


まあ、はじめてみてわかったことは、やはりたいせつなのは著者や本の内容なのであり、出版社の住所なんて、ある程度交通の便がよければ、どこでもいいんだなあということでした。
谷中が「ひとり出版社の集まる街」とかになったら、けっこう愉快なんですが。ならねーか。(笑)