編集日誌 兼 近況報告

lelele2007-04-22



●快 復

発熱と悪寒をともなった風邪でしたが、19日に丸一日ほど寝て、抗生物質を飲んで体内のウイルスを撃退しました。
ひとりと一匹出版社は、私自身と寅専務の体調管理が命です。私は、暴飲暴食をひかえ、しっかりと睡眠をとる。専務は、ちゃんとキャットフードを食し、ベランダでよく遊ぶ。それが一番です。


●講 義

金曜日は、T大の講義でした。パソコンから直接データを出力するスライドを、はじめて使いました。そもそも、プレゼン用のソフトを使用したのは、これがはじめて。本番では、一部の文字が見えないなど、多少のトラブルがありました。使いこなせば便利なツールなんだろうな、と思いました。これから修行します。


●新 刊

現在、仲正昌樹さんの新刊を準備中。6月中には刊行したいところです。前作は、「生き生き」がテーマでしたが、今回は「死」がテーマです。おもに現代思想で活躍した(している)10人の思想家について、「死」をキーワードに仲正さんが語ります。この本の原稿は、webページのリニューアルにともない、刊行前に順次公開する予定です。お楽しみに!


●自 殺

ニューズウィーク日本版」2007年4月25日号の巻末グラビア「PicturePower」の記事は衝撃的でした。

インド有数の綿花地帯、マハラシュトラ州東部のビダルバ地方では、8時間に1人の割合で農民が自殺している。近年急増する自殺者数は、昨年1300人を超えた。後に残されるのは、家族の深い悲しみと絶望、そして多額の借金だ。
政府は02年、バイオテクノロジー業界大手の米モンサント社が開発した、害虫耐性のある遺伝子組み換え品種「Bt綿」を認可した。Bt種は従来のものより高価だったが、「殺虫剤を使わずに収穫量が倍増」とのふれこみに、農民たちは希望を託した。
だが期待ははずれた。綿かを食い荒らす害虫は消えない。たんがい施設が普及していないため、雨が降らなければ凶作だ。さらに貿易自由化でアメリカ産の綿花が流入し、綿の価格が下落。栽培コストが取引価格を上回った。
赤字をかかえた農民は金策に走るが、返済が滞っているために銀行融資は受けられない。行き着く先は高利貸しだ。雪だるま式にふくれ上がった借金に首が回らなくなり、最後には農薬を飲んで自らの命を絶つことに――。
インドは就業人口の6割が農民。Bt種を栽培する他の綿花地帯でも同じ悲劇が起きている。経済成長を謳歌する都市部の影で、貧しい農村が見捨てられている。

(同誌「IT繁栄インドの闇 拡がる死の綿花地帯」、74ページより)

この本文記事にくわえ、自殺した農民や残された家族、綿花価格の下落に抗議する農民などの写真が掲載されています。
こうした惨状を知っても、いま私には何もできません。でも、何もできないと開き直るのではなく、この記事を読み、写真を見たときの衝撃を、何もできないせつなさを、悲しい気持ちを、忘れないようにしたいとは思っています。