面白いドラマ

 私は、テレビが大好きです。
 宮台真司さんが「僕はテレビ、ぜんぜん見ないなあ」などというと、「それは、損をしていますよ」なんて思ったりします。思っても、口には出しません。だって、大学での教育と実務、原稿の執筆、講演、映画鑑賞などで忙しく、宮台さんにテレビなんて見る暇がないのは、考えてみればすぐにわかる話しだからです。
 一方、仲正昌樹さんは、テレビを見ながら論文を書いたりしているという。机にはパソコンのディスプレーがあり、机のヨコにはテレビがある。その双方を、目がいったり来たりしているそうです。テレビ問題(そんな問題あるのか!?)に関して、私は断然、仲正派です。さすがに仲正さんのごとく、机のヨコにはテレビを置いていないけれど、仕事の合間にはかならずテレビを見ています。
 読み物だと、新聞(「あえて」読売新聞)を読み、雑誌(書店に配達してもらってるのは、週刊だとSPA!週刊文春、ニューズ・ウィーク。隔週でASAHIパソコン、月刊でダ・ヴィンチサイゾー。面白そうだと買うのが、情況と理戦、現代思想ダカーポ、創、文藝春秋、disign、談、ロッキンオンJAPAN。あと実話GONナックルズとノンフィックスをミリオンの久田さんからお送りいただいている。ありがとう!)を読み、マンガを読み、本を読み、原稿を読みます。こう書いてみると、テレビのみならず、私は雑誌も好きなんですね。
 このように、何かを読んでいる時間だけでも、かなり膨大になっているわけですが、それでもテレビはやめられません。根っからテレビが好きなんですね、私は。
 では、何を見ているのか。まず、NHK教育の幼児番組を見ています。娘のお付き合いで見ているつもりなのですが、けっこうハマって見ている自分に気づき、驚いたりします。「ピタゴラ・スイッチ」や「バケルノ小学校」といった、大人でも楽しめる名作もあります。同様に、アニメもかなり見ます。レギュラーで見ているのは、「ミルモでポン」や「ブラック・ジャック」「名探偵コナン」「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「ちびまる子ちゃん」「サザエさん」といったところ。
 ニュースは、流していることはあっても、ほとんど真剣に見ません。多くのニュースがワイドショーになっています。いまのニュースは、現場にいって報道したり、取材して報道する、というニュースの本義を忘れ、流行ものや見せ物的な出来事に「演出」をくわえて流すので、あまり信用できません。「こんなことが、ありました」ということを知るためのツールとしては、NHKのニュースがいいかもしれませんが、もちろん内容は信用していません。
 ニュースとかドキュメンタリー(と呼ばれる)番組の、どの部分が信用できて、どの部分が信用できないのか。この点については、カンボジアでテレビ番組制作のコーディネーターを8年くらいやっていたので、ある程度の察しはつきます。とはいえ、これは別の話なので、いずれまた書きましょう。
 ニュース以外だと、お笑いとバラエティー、そしてドラマを見ます。お笑いやバラエティーは、1回見れば面白いかどうか、たいてい判断できるので、面白そうなものだけ「スゴ録」で録っています。かならず見るのは「リチャードホール」と「内P」くらいで、あとは「ロンドンハーツ」「めちゃイケ」「学校へ行こう」などを少々。
 いろいろ見ているわけですが、やはりテレビの王道はドラマでしょう。しかしながら、最近は面白いドラマが少なくて悲しいですね。オリジナル脚本を元に、局が総力戦でつくるようなドラマは、ほとんどありません。小説やマンガで売れたから、ドラマでもやってみましょうか、というノリのものが多く、辟易しています。
 こうなると、レギュラーで見るドラマも極端に限られてくる。いま毎回見ているドラマは、「危険な関係」(フジの昼ドラ。ドロドロさ加減が、なんともいえません)と「タイガー&ドラゴン」のみ。後者は、おそらく歴史に残る傑作になると思います。私のいう傑作とは、「傷だらけの天使」とか「探偵物語」「寺内貫太郎一家」「ロング・バケーション」「太陽にほえろ」「鬼平犯科帳」などと同列だということです。(笑)
 そうそう、いま再放送でやっている「王様のレストラン」も傑作ですね。録画して見ていますが、あまりにも面白く、カンボジアでは1クール(全話)をとおしで5回くらい見た記憶があります。いま見ても面白い。キャスティングも内容も、ほとんど完璧な作品です。
 今回、テレビのことを書こうと思ったのは、いま「池袋ウエスト・ゲート・パーク」を見ているからです。仲正さんが対談で言及していたのと、クドカンが脚本を書いていることから、DVDを借りて見ています。これがまた面白い。噂では、石田衣良の原作も面白いとのことなので、ぜひ小説も読んでみようと思います。小説やマンガが原作であっても、作り手の創意工夫があれば、いくらでも面白くする可能性がある、というお手本みたいなドラマです。そう考えると、いまはキャストの人気だけに頼った、ヘタレなドラマがいかに多いことか……。
 いずれにせよ、テレビは視聴者の欲望がストレートに反映されるメディアだから、アホなニュースが多いのは、視聴者がまともなニュースを求めていない証であり、ヘタレなドラマが多いのは、それを求めている視聴者が多いことの現れなのだともいえましょう。そういうテレビを懸命に見ている私も、アホでヘタレだということになりますなあ。
 まあ、面白い番組をベタで見るのと同時に、こうして面白くない部分も分析しながら見ていると、テレビというメディアも捨てたものではないなあ、と思います。問題は、面白くない部分をベタに受け取ってしまうことです。そのへんは、メディア・リテラシー教育によって、どうにかしなければならないんでしょうね。
 いろいろ書きましたが、面白いドラマがあったら、ぜひ教えてください。いまのものでも、昔のものでも。私が好きなドラマの傾向は、これを読んだ方にはすでにおわかりのことでしょう。よろしくお願いいたします。