もっとクドカンの作品を観たくなりました

 クドカンこと宮藤官九郎が脚本を担当したドラマ、「木更津キャッツアイ」をDVDで観ました。「池袋ウエストゲートパーク」にはかなわないものの、「野球好きの仲間=泥棒」という物語の奇抜さと、ドラマ1回分を野球にならって表裏に分ける斬新な構成により、全編、飽きずに観ることができました。
 DVDの5巻には、クドカンのインタビューが収録されているのですが、これが面白い!
 基本的には、「誕生秘話」のような企画に関するものや、キャラを演じた役者の印象、印象に残るシーンの解説など、いわゆる「楽屋落ち」を語ります。それだけでも「ああ、そうだったのか」と思いながら、膝をポンとたたくわけですが、何よりもクドカンのネタかベタかわからないような語り口がいい。

 ちなみに、ドラマ1回分を表裏に分けるとは、こういうことです。物語の構成を、メインとなる本編=表と、本編の裏で起きていたことを振り返る副編=裏に分ける。副編とは、本編では一瞬しか写らなかったシーンや人物を取りあげるわけです。本編の終わりのシーンから映像を速まわしで巻き戻して(実際にビデオを速まわしで巻き戻すような映像が流れる!)、本編の特定のシーンを起点に、まったく別の人物の行動を追うことにより、本編の謎解きをします。
 一般のドラマは、一定の時間軸を元に、物語が進行していきます。そうしないと、観ている人が混乱しますからね。ところが、クドカンはそれを無視した。1話のなかで、同じ時間軸を2回、シーンと人物を変えて繰り返すのです。

 で、そのことを語るクドカンの表情が、笑ったり曇ったりします。斬新な構成が、プロデューサーとの雑談のなかで生まれること。はじめは船橋あたりで撮影しようと思っていたが、市街地なので困難だということで、かなり適当なノリで木更津が選ばれたこと。その木更津にクドカンは、2話が放映されるくらいまでいったことがなかったこと。いかに飽きずに観てもらうかを絶えず考えていたこと。いつも脚本の分量が多かったが、とりあえずすべてのシーンを撮影したあと、カットして尺をまとめたこと……。そんなこんなが語られます。
 たしかにカット数は多いですね。「池袋」も多かった。カット数が多いということは、情報量が多いということで、それだけ役者やスタッフはたくさん働いているわけで……。
 インタビューでのクドカンの表情からは、そんな制作者の産みの喜びと子育ての苦悩が、ひしひしと伝わってきます。容姿や発言からは、「軽い」人だと思われがちですが、「それはちょっと違うよ」と思わせるインタビューでした。

 いろいろ考えながらドラマを観ていると、けっこう楽しめます。とはいえ「木更津キャッツアイ」は、余計なことを考えなくても面白いドラマです。
 ぜひご覧になってください!

 さて、これから日本シリーズを観るぞー。

p.s. ちなみに、読売新聞本日付夕刊のテレビ時評にも、クドカンの記事が掲載されていました。


木更津キャッツアイ 5巻BOX [DVD]

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木更津キャッツアイ 日本シリーズ [DVD]

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p.s. はまぞうで取り込んだリンクの映像を、ヨコにならべたいのですが、どなたかその方法を伝授していただけませんか?