宮台思想塾 ――お題は竹山護夫著『北一輝の研究』――
なんとか参加しつづけています。数回前から、ちらほらと社会人参加者の姿が消え、今日はほとんどいなかったのでは? みなさん、忙しいのでしょうね。
今回は、前半が前回のつづき(松本健一著『竹内好「日本のアジア主義」精読』)でした。松本さんが、竹内好の議論をどう読んでいるのか、という部分の検討です。
後半は、表題の竹山本のレジュメ発表。「北一輝と生存空間の転換」の第一章から第三章まで。この本は、北一輝の政治思想ではなく、おもに北の実在的な生き様を心理学的に分析し、人間・北一輝の実像を浮かびあがらせるような内容です。文章がひじょうに難解で、典型的な「読むのに時間がかかる本」だといえます。
宮台さんの発言で興味深かったのは、EUの話でした。
EUといっても、イギリスのように流動化を認めることにより伝統を守ろうとする社会と、フランスのように流動化を認めないで伝統を守ろうとする社会がある。EU全体としてはイギリス型社会への方向性を模索している。しかし、フランスのように議会の90%が賛成しているEU憲法の採択が、国民投票で否決される、すなわちヨーロッパ全体の利益よりも流動化による失業率の上昇が重視される国もある。現代における亜細亜主義は、EUをお手本にすべきだとは思うが、そのEUが機能不全になるようならば、おそらく東アジアにおける亜細亜主義の実現も厳しいものとなろう。
強引な要約で、すいません。
関連記事 : 「会談で決裂したEUの未来」(『ニューズウィーク日本版』6/29号)
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