会社の話 ――編集作業の実況――


 忙しくなってくると、以前の日記で番号を確認する気力がないので、以降の「会社の話」は番号をふりません。あしからず。

 『限界の思考』の作業がようやく本格的に動き出しました。どうなると本格的に動き出すというのでしょうか。著者に送ってあったテキスト原稿が、私の手元に返ってきたとき、動き出すのです。
 今回の場合、著者がふたりいます。なおかつ対談本です。よって、おふたりからの原稿がそろうまで、へたに作業を進めることができません。「1章はこの方で、2章はこの方で……」というように、著者が章単位で執筆していれば、手元に原稿が届いた順にゲラを出すこともできますが、対談本だとそれは不可です。

 さて、第4章のふたりの原稿がそろいました。まず、おふたりとも加筆の量が半端ではないため、ひとつの章では長すぎます。では、第4章はふたつに分けましょう。これで『限界の思考』は、4章立てから5章立ての本になりました。
 つづいて、4章と5章のおふたりの加筆済み原稿を、合体させます。すでに届いていた著者の原稿に、あらたに届いた著者の発言部分を貼り付ける、という作業です。コピペですね。
 合本ができたら、用語の統一をおこないます。漢字を開いたり(「間」→「あいだ」とか「一体」→「いったい」など)、逆にかなを漢字にしたりするわけです。この作業は、けっこうたいへんです。そして、その方針によって、出版社の「いかに読者を気づかっているか」「いかに日本語にこだわっているか」「誰に本を読んでもらいたいのか」といった部分が、はっきりとあらわれることになります。作業中に具体的なことを書く時間はないので、双風舎の用語統一に関する方針は、あらためて書くことにします。
 用語統一が終わったら、脚注のチェックをやります。加筆分に注が必要な単語があれば、これまで書いた脚注に追加します。いま、この作業をやりつつ、この日記を書いています。
 あとの作業については、つぎの日記にて。

 予備情報ですが、本来だと、すべての原稿がそろってから上記のような作業をまとめておこないます。用語統一にしろ脚注の整理にしろ、そのほうが一括でできて能率がよいからです。
 とはいえ、今回はできるだけ早く本をつくるため、ふたりの著者の原稿がそろった章から作業をはじめて、初校ゲラを出してしまいます。すべての原稿がそろってから作業をやると、おそらく発売は10月ころになってしまうかもしれませんので。
 というわけで、超特急で作業をやっております。