外務省は何をしたいのか?

 7月27日に、東南アジア諸国連合と中国・日本・韓国(ASEANプラス3)の外相会議が、ラオスの首都ビエンチャンで開催しました。ところが、日本の町村外相は、国連安保理改革の調整を理由に、何と欠席。ASEAN外相会議で日本の外相が欠席したのは初めてのことです。外務省は何をしたいのでしょうか?

 ニューズ・ウィークの8/4号で、ジェームズ・ワグナーさん(同誌副編集長)が「安保理入りの夢より まずは優先順位を」というコラムを書いています。そこで彼は「外交的に何かを成し遂げるには、まず政府が優先順位を明確にする必要がある」と指摘します。
 いま日本の外交が直面している事柄が、国連安保理問題と6カ国協議、そしてASEAN外相会議の3つだとします。6カ国協議には、現段階では外相がいく必要はありません。そして、日本の安保理常任理事国入りは、ほぼ不可能だという見通しがたっています。ならば、町村外相ASEAN外相会議に出席しても、何の問題もないでしょう。
 同会議のフィナーレで、外相全員が手をつなぐいで写真を撮るのが恒例になっていますが、日本だけ外相ではない写真は、かなり違和感がありました。今回の町村外相の欠席は、日本の東南アジア外交、そして東アジア外交に、多大な影響を及ぼすような気がします。常任理事国入りするためには、中国の支援が必要です。だが日本政府は、中国の支援なしで常任理事国入りしようという絵空事に過ぎないことを考え、ASEANよりも絵空事に重きを置いています。
 「どうしてもASEANが重要だ」などと、青筋をたてて主張するつもりは、まったくありません。でも、アジアの国ぐにが「日本は、俺たちのことより、絵空事が重要なんだ。へぇ〜」と考えるようになってしまったら、ちょっとマズいでしょう。「ODAでもバラまけば、そんなの忘れるよ」という軽い問題では、けっしてありません。
 何を考えているのでしょう、町村外相と日本外務省は……。
 これでは亜細亜主義も何も、あったもんじゃない。お先、真っ暗ではありませんか。ねえ、宮台さん。