「週刊文春」のスクープ

これは政界が動きそうだな、と思いました。
週刊文春」12月8日号の「谷垣財務大臣 中国人女性『買春』疑惑」というスクープ記事を読んで、そう思いました。1988年に日中民間人会議なるものに参加した谷垣さんが、泊まったホテルに中国人女性を連れ込んだ、という内容。
その事実を実証しているデータが、「中国駐在商社員などに対する摘発・国外退去事案(情報)」という中国公安当局のリスト。社会主義共産主義の国では、たいていそういうチェックはしているし、データもつくってあります。常識といってもいいかもしれません。
なんで公安がそんなことをするのかというと、まず情報漏洩などの可能性を危惧して、自国の民と外国人とが接触することを、当局が快く思っていないことがあるでしょう。しかし、それよりも重要な意味は、外国の企業や政府に対する外交カードとしての利用法なのだと思います。
どこぞの政治家が、何にも知らずに外国へ視察旅行にいって、宴会のあとに飲み屋にいって、飲み屋で働く女性を持ち帰る。その政治家は、何も知らずに帰国する。持ち帰られた女性やホテルが、政治家のことを公安にしゃべる。公安はそれを記録して、保存する。
で、何かもめごとが起きたら、「政治家がこんなことしてて、いいんですかねえ」なんていいながら、公安がつくったリストをちらつかせる。
そういうことは、私がいった当時のカンボジアでもやっていました(社会主義をやめてから、ほとんどなくなりましたが)。隣のベトナムでは、一時滞在の外国人のチェックはもちろん、常駐する新聞の特派員や商社の人も徹底的にチェックされていました。いまはどうだか、知りませんが。
まあ、谷垣さん本人が、そうした公安事情を知らないのは仕方がないと思います。だからといって、買春したのがいいといっているわけではありません。そうではなくて、まわりに事情を知っているブレーンがいて、谷垣さんに注意をうながさなかったことが問題なのだと思います。注意されたのに、ぶっちぎったという可能性もありますが……。
在中国の日本大使館員とか、何をやっていたんでしょうね。政治家が勝手にそんなことをして、わざわざ外交カードを中国に提供するようなことを、外交のエキスパートである外交官が見逃していたのだとすれば、それは著しく国益をそこなうことだといえましょう。笑
それこそ佐藤優さんのような人が、谷垣さんの近くにいたら、こんなことにならなかったのかもしれませんね。