韜晦と諧謔の人、植木等さん死去


幼い頃に、「無責任男シリーズ」などの植木等さんが出演するコメディ映画をよく観ました。
おとなになってから、「ズータラ節」などのコミックソングをカラオケでよく歌いました。


エラくおもろいおっちゃんだなあ。
そう思いながら夜間大学に入って、生協の書籍売場をうろうろしていたら、朝日文庫の棚になぜか植木さんの著書が……。


『夢を食いつづけた男――おやじ徹誠一代記』(朝日文庫)、著者は植木等
読んでみると、内容は植木さんのおとうさんの半生記でした。詳しくは同書にゆずりますが、おとうさんはかなり波瀾万丈な人生を歩んだ方。私はこの本で、水平社のことを知り、部落解放運動のことに興味を持ちました。


本物のお笑い芸人は、めったにみずからは笑わない。
これはあくまでもたとえですが、私には植木さんが韜晦と諧謔を体現した人のように思えてなりません。能ある鷹は爪を隠す。隠した爪がどんなものだったのか、ぜひ生きているうちに聞いてみたかったなあ。


まあ、そんなまじめなことを聞いても、「はい、それまでよ」と簡単にいなされてしまうのかもしれませんが。

夢を食いつづけた男―おやじ徹誠一代記 (朝日文庫)

夢を食いつづけた男―おやじ徹誠一代記 (朝日文庫)