読売新聞朝刊1面八つ切り広告

lelele2007-06-29



新聞1面の下部に「サンヤツ」という書籍・雑誌の広告欄があります。「サン」は本文の3段分でこれがタテのサイズ、「ヤツ」は新聞の横幅を八つに切ったヨコのサイズを意味します。


この広告の掲載料は、新聞の規模や掲載する曜日、また広告のうまり具合によって違います。さらに、新聞社と直接やりとりするか、どの広告代理店をとおすか、によっても違ったりします。


以前、拙ブログで書いたかもしれませんが、私がK社にいたときの相場では、朝日が100万円、読売が30〜50万円、毎日が10〜30万円といった感じでしょうか。ときどき、広告代理店の人が来て、「社長、今度の日曜の読売、20万ですよ!」という感じで、掲載を誘われたりしました。5年くらい前の話です。


亡くなったK社の先代社長から、新聞に掲載する出版広告に、どれだけ販売促進効果があるのは疑問であり、どちらかといえば出版社の「存在証明」的な位置づけで、広告を出している会社が多いのでは、といわれておりました。あと、儲かったときの税金対策ですね。


たしかに、5年前の時点でも、新聞1面のサンヤツには「健康本」と「宗教本」「自己啓発本」「自費出版」が4強として、幅を利かせておりました。で、「人文書」をつくる出版社だったりすると、それら4強と並べられるのが嫌なので、広告出稿の際には、一緒に並ぶ出版社を徹底的にチェックしてました。


そして、突然ですが、今日の読売新聞1面のサンヤツ。なかなかスゴいラインナップです。以下、八つの書名と出版社名を記します。


・『できる社長の会計力』税務経理協会
・『デジタル一眼レフ レタッチの基本 教えます』玄光社
・『すぐ結果が出る「15分」活用法』新講社
・『人生の扉を開く』日本教文社
・『ハリー・ポッター7 前夜祭』出版文化社
・『進化する総入れ歯』KKロングセラーズ
・『ツキを呼ぶ魔法の言葉』評言社
・『インプラントのすべてがわかる本』保健同人社


これを見て、「お金を持ってる出版社は、こういう本を出しているのか」と思い、人文系の出版社はお金がないのかなあ、とじみじみ思いました。まあ、お金の問題を抜きにしても、このラインナップで出稿したら、たしかに「人文書の威厳」(笑)みたいなものは確保できませんね。(ちなみに、ここでは、どの出版社の本がよいか悪いかということを問題にしているのでは、まったくありません。新聞広告の内容と、掲載出版社の組み合わせについて論じています)。


個人的には、幻冬舎のように費用対効果を計算したうえで、怒濤の広告作戦を展開するのも、ひとつの広告手段だとは思います。金はかかるが、効果も見込める。逆に、そうでもしないと、新聞に広告を出す意味が、なくなりつつあるような気もします。


新聞書評の力も、広告効果としてはあまり見込めなくなっている昨今。新聞広告の効果もそれほど見込めません。昔は近かった新聞と本との距離が、すこしずつはなれてきているのではないでしょうか。


今日の読売新聞朝刊1面のサンヤツを見て、そう思いました。