「どんかん」なのは誰なのか?

lelele2007-07-02



ひさびさに、「マル激」の番組を最初から最後まで見ました。
前は有料会員だったのですが、あまりにも見る時間が確保できないため、更新していませんでした。今回は、テーマが興味深く、また無料視聴できるということで、「ちらっと見てみよう」と思いました。ところが、約3時間にわたる番組のすべてを見てしまいました。


弊社が「サヨク」がらみの企画を進行しているということは、すでにお知らせしました。その企画とこの番組の内容が、かなりかぶっているのが印象的でした。「国家」や「ナショナリズム」、そして「アイデンティティ」といったものを、単に否定するのではなく、それらが何なのかを自分の頭で考えること。さらに、それらを世直しのツールとして、どのように有効活用していくのかを考えること。いまの日本を考えるうえで、この2点が重要だという認識を、小林さんと宮台さん、そして萱野さんの3人が共有しているように、私には思えました。


にもかかわらず、自分はサヨクだと言い切る萱野さんの語り口には、魅力がありました。最近、論壇で見かける30代(前半)若手論者のなかでは、「右とか左とかいって、二項対立で分けるのは、もう古いんじゃない」という見解を表明することが流行しているようですが、そういう論者とは一線を画すものを、萱野さんに見ることができたような気がします。


小林さんに関しては、「びんかん」な人であるがゆえに、社会問題の中の欺瞞や不正の匂いを感じ取り、時代の流れとともに論調を変化させてきた(させざるをえなかった?)人なのかなあ、と個人的には思っています。そして、いまは、めぐりめぐって小林さんのほうから、宮台さんに近づいているようにも思えました。このへんの解釈は、いろいろあると思いますが。


請求書の作成やら『思想の死相』のゲラ確認などの諸作業を投げ出して、番組を見ていたわけですが、投げ出した価値はあったと思います。時間があったら、ぜひご覧になってください!

■マル激トーク・オン・ディマンド 第326回 [2007年6月29日収録]
タイトル:5金スペシャル 右翼も左翼も束になってかかってこい
ゲスト:小林よしのり氏(漫画家)、萱野稔人氏(津田塾大学准教授)

 今年2回目の5金は、ジャーナリズム宣言を残して失踪中(?)の神保哲生抜きで、マル激司会の宮台真司が二人のゲストと徹底的に語り合う特別企画をお送りする。
ゲストは、『ゴーマニズム宣言』でおなじみの漫画家小林よしのり、国家やナショナリズムについて鋭い評論を発表している新進気鋭の哲学者、萱野稔人津田塾大学准教授の両氏。
 「ワシの本をどう読んだら、『嫌韓流』に向かうのか。ワシは誤解されとるのよ」と勘違い右傾化を嘆く小林氏。小林氏と同席しただけで「友人の何人かは口を聞いてくれなくなる」と悲壮な決意で参加した萱野氏。二人のくせ者論客をどのように仕切るか、宮台真司の司会ぶりも要注目。
 「今日は、右も左も切り刻むことになる」と宮台真司が不敵に笑ってスタートした鼎談は、小林氏の沖縄へのこだわりから始まり、右派左派の欺瞞から、ナショナリズム格差社会へと、縦横無尽に広がっていった。

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