自己責任の行きつく果てに


この事件、父親は許し難いという話になるのかもしれないけれど、それだけでは済まないような気もします。


「生活苦」なるものが、ここまで深刻な事件を引きおこすことの意味は深いでしょう。このお父さんは、二人目の子どもまでは、なんとか育て上げていたんですよね。にもかかわらず、三人目が産まれる直前に、「仕事もなく、生活が苦しい」。


単に、お父さんの求職への努力が足りないとか、怠けているといった話で終わらせるのではなく、「なぜ仕事がなかったのか」とか「なぜ誰かに相談できなかったのか」、また生活に追いつめられた人と行政との関係を探るのも重要だと思います。


また、ここまでやらなくても、ここまでやる一歩手前のお父さんやお母さんもいるだろうし、事件として表面化しないながらも、似たようなことは各地でたくさん起きているんじゃないかなあ。


あくまでも「if」の話ですが、困ったときに気軽に相談できる人や窓口が、身近にあるかないか。それが、お父さんが(おそらく)妻と子どもを殺して、自身も死ぬような事態になるかならないかの境目であるような気がします。


自分は弱者に優しい目を向けられるわけでもない。自分自身が経済的には限りなく弱者に近いので、困った他人に何らかのアクションを起こせるわけでもない。口先だけで「がんばれ」とか「助け合おう」とかいうのは、かんたんだけれど。


それを自覚しながらも、自己責任の行きつく果てがこの事件なのだとすれば、何が問題の本質なのかを見極めたうえで、できることはやっていきたいと思いました。無関心では悲しすぎるではありませんか。亡くなった二人の子ども、お母さん、そしてお父さんのことを思うと。

「妊娠の妻と2児殺害し飛び降り自殺か…生活苦、4人死亡」 (7月21日1時50分配信 読売新聞)

 20日午後1時5分ごろ、大阪市東淀川区下新庄3の賃貸マンション(9階建て)の管理人から、「男性が路上に倒れている」と119番通報があった。 男性は搬送先の病院で死亡が確認された。 男性はマンション3階の住人で、部屋から妊娠8か月の男性の妻と、子ども2人の遺体が見つかった。母子の遺体のそばにあった携帯電話には、「仕事がなく、生活も苦しい。このままでは子どもも産めない。ご飯も食べられない」などと打ち込まれたメールが残っており、大阪府警東淀川署は、男性が無理心中を図ったとみて、詳しい動機などを調べている。 調べによると、4人は電気工事業弘田信行さん(34)と妻和恵さん(34)、いずれも保育園児の長男空良(そら)君(5)と長女七海(ななみ)ちゃん(2)。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070720-00000011-yom-soci