仲正昌樹さんの本が晶文社から出ました!

 昨日、仲正さんの新刊『なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論』(晶文社)を買いました。内容の吟味は専門家にまかせます。かなり面白いので、みなさん買いましょう。さまざまな場面で「話」が通じなくなっていることを、みずからの体験や経験にもとづく具体例を元に、仲正節で語っています。専門書ではないので、サクサク読めます。

 思い起こせば、仲正さんと私との出会いは、2003年12月末に三省堂書店神田本店でおこなわれた『情況』主催のトークイベントでのことでした。
 同年11月に、『帝国を考える』(双風舎刊)でお世話になった的場昭弘さんの研究室を、写真撮影のために訪れました。そこで「仲正くんという面白い人がいるんだよ。頭はきれるし、仕事も早い」といいながら、的場さんは書棚から『「不自由」論』(ちくま新書)を取り出して、私に手渡したのです。まったく失礼な話ですが、その時点まで私は仲正さんの存在を知りませんでした。
 すぐに同書や他の著書を数点ほど購入し、一気に読んだところ、確かに面白い。現代思想関連の理論的な考察もさることながら、エッセイ風の文章に、これまで読んだことのないタイプの何かを感じました。
 仲正さんの存在を知ってから1カ月後のトークイベントの日、「宮台さんとの対談をおこない、それを本にしませんか」という内容の手紙を、ご本人に手渡しました。イベントのテーマが亜細亜主義だったので、ちょうど宮台さんも参加していました。その数日後、仲正さんからメールをいただき、対談本の企画について快諾をいただきました。
 それ以来、だいたい2カ月に一度は、仲正さんと食事をしたりお茶を飲みながら、イベントの話や企画の相談をしています。仲正さんが深く関わる「人体実験裁判」を傍聴するため、金沢を訪ねたりもしました。
 私との年齢差は、わずか1歳。ほぼ同年代です。とはいえ、お互いの生き様はぜんぜん違います。統一教会での宗教経験については、ときどきご自身で語っていますが、その他の部分でも興味深い生き方をしてきた仲正さんの「人物像」に、私はたいへん興味を持ちました。
 仲正さんの人柄については、『日常・共同体・アイロニー』(双風舎刊)の「あとがき」で宮台さんが、かなり的確に記しています。興味のある方は、ご一読を。
 想像を超えた知識の量に裏打ちされた仲正さんの発言には、ときどき畏怖を感じたりします。しかしユーモアもけっして忘れない。まさに敵なし。敵にしたらこわいが、見方にすれば心強い。
 ここまで読んだ方は、「仲正さんって、敵なしで強そうな(コワそうな!?)人だ」と思われるかもしれませんが、ご本人と接してみると、語り口のウラに垣間見られるやさしさを強く感じたりします。
 ずっと一緒に仕事をしていきたい著者であり、一杯やりながら与太話をしたい友人。それが私にとっての仲正さんです。
 年内には、サクサク読める仲正節炸裂の現代思想本を、弊社から刊行します。

なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論

なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論

追記… なぜか書影の写真はないし、新刊なのに品切れになっています。どうしてだろう? (6月19日に、品切れではなくなりました)