『いじめと現代社会』の発売延期について

lelele2007-02-15



リアル書店やネット書店で予約していただいた読者の方々。
いつも双風舎の本を買っていただいている読者の方々。
発売日に書店で買おうと思っていた読者の方々。
誠に申し訳ありません。


内藤朝雄著『いじめと現代社会』の発売日は、
印刷上のミスが原因で、
2月22日に延期となりました。
今後はこのようなことがないよう、
細心の注意をはらうようにいたします。


通常の出版社であれば、ご報告は以上。
ところが、双風舎はここでは終わりません。
ふたたび同じミスをしないためにも、
ひとり出版社の実態を知ってもらうためにも、
「印刷上のミス」の詳細をご説明します。


13日に見本の50冊が、取次のJRCに届きました。
見本を手に取るときというのは、
出版人をやっていて幸せを感じるときでもあります。
「手塩にかけてつくった本」と出会うときですからね。
この日も例によって、「やっとできた!」と喜んでいました。


その帰り道、漫画喫茶に寄って、本をじっくりながめました。
すると……。
オビに違和感を感じるんですよね。
「何か違う。何が違うんだろう」と。
穴が開くくらいオビを見てみると、違和感の理由に気づきました。


右上の写真をご覧になってください。
「精神的買春」と印刷されていますね。
これは、正しくは「精神的売春」なのです。
「買」でなくて「売」。


何か嫌な思いをした猫が、それを忘れるために、
顔を洗ったり毛づくろいをしたりする。
これを転移行動というとのこと。
「買」の文字を見た私がまっさきに思ったことは、
「これは夢なのではないか」ということでした(笑)。
ほんとに。


オビは2000部(プラス予備500部)ほど刷り上がり、
いまごろは製本所で、すべての本に装着されている。
そのオビがすべて、使い物にならない……。
嗚呼、なんてこった……。
これはきっと、夢なんだ……。
約1分くらいでしょうか、
私は猫と同様の転移行動をとっておりました。


そして1分後、現実にもどってきました。
まず、著者と取次と印刷屋さんに連絡しなければ。
どのようにリカバーするか考えなければ。
本屋さんにもあやまらなければ。
何より、自分のミスを反省しなければ……。


著者の内藤さんと取次(JRC)とは、
その晩のうちに連絡を取り合いました。
翌日、印刷屋さんに連絡すると、
すでにオビはすべての本に装着してしまったとのこと(涙)。
そこで、印刷屋さんにはオビのデータ修正と刷り直しを、
製本屋さんにはオビの取り外しと再装着を依頼しました。


以上のリカバー作業が終了するのが21日。
その日のうちに書店へ発送し、
22日から本が書店に並びはじめることになりました。


見本ができるまでのあいだに、
すくなくとも10回くらいはオビ原稿を確認しています。
それでも、このような凡ミスが発生してしまいました。
何度も確認しながらも、まさかオビに誤字はないだろうと、
油断してしまったのが凡ミスの原因だと思われます。


ミスの影響で配本が遅れ、
本の発売を楽しみにしていた読者のみなさんに、
多大なる迷惑をかけてしまいました。
重ねてお詫び申し上げます。


ミスにともない、オビの用紙代や印刷代、
製本代などの費用がふたたび発生します。
これも授業料だと思って、きっちり支払います。
発売延期にともない、内藤さんや業者のみなさんにも
迷惑をかけてしまいました。
申し訳ありません。


いずれにしても、ひとつだけ救いがあるとすれば、
書店に並ぶ前に、誤字に気づいたことですね。
「買春」と「売春」では、意味が逆なんですから、
そのまま発売してしまったら、それこそ赤っ恥でした。


こうやってミスを公開すると、
また「あんたはプロじゃない」なんていわれそうですね。
たしかに、凡ミスについてはプロならざる行為だと思っており、
深く反省しております。
でも、こうしたミスや会社の経営事情を公開することと、
プロかどうかということは、あまり関係がないと思っています。


ミスを公開することにより、
読者のみなさんにエキスキューズしよう、などということを、
まったく私は考えておりません。。
ただただ、ひとり出版社の実状と、それを取り巻く出版界の実態を、
読者のみなさんに知っていただきたいと思っているだけです。


ミスが恥ずかしいと思えば公開しなければいいし、
ミスを公開することにより、今後に役立てようと思えば公開すればいい。
ただ、それだけなんですね。