『いじめと現代社会』の発売延期について
リアル書店やネット書店で予約していただいた読者の方々。
いつも双風舎の本を買っていただいている読者の方々。
発売日に書店で買おうと思っていた読者の方々。
誠に申し訳ありません。
内藤朝雄著『いじめと現代社会』の発売日は、
印刷上のミスが原因で、
2月22日に延期となりました。
今後はこのようなことがないよう、
細心の注意をはらうようにいたします。
通常の出版社であれば、ご報告は以上。
ところが、双風舎はここでは終わりません。
ふたたび同じミスをしないためにも、
ひとり出版社の実態を知ってもらうためにも、
「印刷上のミス」の詳細をご説明します。
13日に見本の50冊が、取次のJRCに届きました。
見本を手に取るときというのは、
出版人をやっていて幸せを感じるときでもあります。
「手塩にかけてつくった本」と出会うときですからね。
この日も例によって、「やっとできた!」と喜んでいました。
その帰り道、漫画喫茶に寄って、本をじっくりながめました。
すると……。
オビに違和感を感じるんですよね。
「何か違う。何が違うんだろう」と。
穴が開くくらいオビを見てみると、違和感の理由に気づきました。
右上の写真をご覧になってください。
「精神的買春」と印刷されていますね。
これは、正しくは「精神的売春」なのです。
「買」でなくて「売」。
何か嫌な思いをした猫が、それを忘れるために、
顔を洗ったり毛づくろいをしたりする。
これを転移行動というとのこと。
「買」の文字を見た私がまっさきに思ったことは、
「これは夢なのではないか」ということでした(笑)。
ほんとに。
オビは2000部(プラス予備500部)ほど刷り上がり、
いまごろは製本所で、すべての本に装着されている。
そのオビがすべて、使い物にならない……。
嗚呼、なんてこった……。
これはきっと、夢なんだ……。
約1分くらいでしょうか、
私は猫と同様の転移行動をとっておりました。
そして1分後、現実にもどってきました。
まず、著者と取次と印刷屋さんに連絡しなければ。
どのようにリカバーするか考えなければ。
本屋さんにもあやまらなければ。
何より、自分のミスを反省しなければ……。
著者の内藤さんと取次(JRC)とは、
その晩のうちに連絡を取り合いました。
翌日、印刷屋さんに連絡すると、
すでにオビはすべての本に装着してしまったとのこと(涙)。
そこで、印刷屋さんにはオビのデータ修正と刷り直しを、
製本屋さんにはオビの取り外しと再装着を依頼しました。
以上のリカバー作業が終了するのが21日。
その日のうちに書店へ発送し、
22日から本が書店に並びはじめることになりました。
見本ができるまでのあいだに、
すくなくとも10回くらいはオビ原稿を確認しています。
それでも、このような凡ミスが発生してしまいました。
何度も確認しながらも、まさかオビに誤字はないだろうと、
油断してしまったのが凡ミスの原因だと思われます。
ミスの影響で配本が遅れ、
本の発売を楽しみにしていた読者のみなさんに、
多大なる迷惑をかけてしまいました。
重ねてお詫び申し上げます。
ミスにともない、オビの用紙代や印刷代、
製本代などの費用がふたたび発生します。
これも授業料だと思って、きっちり支払います。
発売延期にともない、内藤さんや業者のみなさんにも
迷惑をかけてしまいました。
申し訳ありません。
いずれにしても、ひとつだけ救いがあるとすれば、
書店に並ぶ前に、誤字に気づいたことですね。
「買春」と「売春」では、意味が逆なんですから、
そのまま発売してしまったら、それこそ赤っ恥でした。
こうやってミスを公開すると、
また「あんたはプロじゃない」なんていわれそうですね。
たしかに、凡ミスについてはプロならざる行為だと思っており、
深く反省しております。
でも、こうしたミスや会社の経営事情を公開することと、
プロかどうかということは、あまり関係がないと思っています。
ミスを公開することにより、
読者のみなさんにエキスキューズしよう、などということを、
まったく私は考えておりません。。
ただただ、ひとり出版社の実状と、それを取り巻く出版界の実態を、
読者のみなさんに知っていただきたいと思っているだけです。
ミスが恥ずかしいと思えば公開しなければいいし、
ミスを公開することにより、今後に役立てようと思えば公開すればいい。
ただ、それだけなんですね。